介護福祉士の仕事・求人特集
高齢化社会に欠かせない介護のプロフェッショナル
介護福祉士は1987年の社会福祉士及び介護福祉法に基づき制定された国家資格になります。介護福祉士とは、高齢者や体の不自由な人をはじめとして、日常生活を自力で行うのが困難な人に対して食事や入浴、排せつなどの身体介護を必要に応じて行う人を指します。自分で直接介助することもありますし、利用者のなかには家族が普段介護をしているケースもあります。そのような身の回りの世話をしている家族に対してどのような介護を今後すべきかのアドバイスをします。また家族のなかには介護についてわからないことや悩んでいる方もいるでしょう。そのような方の相談にも乗る役割も担っています。介護の仕事は資格なしでもできますが、介護福祉士の資格を持っていると介護の専門家として就職の可能性がアップしますし、待遇も厚遇される可能性が高いです。
介護福祉士の働いている職場ですが、まず入所型施設があります。いわゆる老人ホームと呼ばれる施設が該当します。老人ホームでは高齢者が入居していて、そこで生活を送っています。老人ホームには条件があり、常時10人以上の高齢者を入居させ、食事をはじめとして日常生活を送るにあたって必要なサポートを行うことが目的の施設のことです。老人ホームの入所者のなかには介護が必要な人もいます。そこで介護福祉士は、必要に応じて入所者の介助を行うことになります。介護を必要な高齢者のみの入居を認めているような施設もあり、特別養護老人ホームと呼ばれる施設がそれに該当します。通常の老人ホームは、民間企業が運営母体となっているケースが多いです。
入所者施設では、食事や入浴、排せつの介助を行うのですが多数の利用者を対象にして作業を進めていきます。さらに入所者の必要に応じてベッドや車いすに移乗させるとか、歩行する際の介助を行わないといけないため忙しく動き回ることが多いでしょう。施設の廊下を走り回っている介護福祉士の姿もしばしば見られます。入所者がいつ介助を必要とするかわかりません。そこで介護福祉士などのスタッフは24時間ローテーションで勤務する形になります。そのため月に何度か夜勤を担当することもあるかもしれません。夜中から早朝にかけて、複数の入所者の介助を一人で面倒みるような施設もあります。そのため20代のような若手の職員が多い傾向もみられます。
老人ホームの場合、終の棲家として入所している高齢者が大半です。そのため、長いことお世話をする形になりますので親しい関係を構築したうえで介護サービスを提供できます。老人ホームを見てみると、母体の企業の地盤がしっかりしているところが多く、給料などの待遇に比較的恵まれていますし、教育プログラムも整備されているところが多いです。社会復帰をする前段階として、ケアハウスに入居している人を相手にする介護福祉士の仕事もあります。このような施設には、医者や看護師、理学療法士などの他の医療関係のスタッフも関わっています。異なる職種のスタッフと連携しながら仕事ができるため、さまざまな知識・スキルを身に着けることもできるでしょう。
老人ホームのなかでも特別養護老人ホームでは、介護を多方面にわたって必要とする入所者が多いです。そのため、介助をはじめとした業務量が多くなるので介護スタッフにかかる負担はどうしても大きくなります。一般の老人ホームの場合、入所者はある意味お客さんという側面を持っています。そのため、介護をするだけでなく接遇にも力を入れる必要があるので、介護職員として就職した場合には、そのギャップに悩む人も出てくるかもしれません。入所型施設の場合、基本入所者は24時間施設のなかで生活します。施設では、いつ何が起きても問題がないように常時介護職員を配備する必要があります。そのため月に何度かは夜勤をする必要があり、病院の看護師のように不規則な環境のなかで仕事をしなければならなくなるでしょう。
介護が必要な高齢者のなかには、自宅療養しているケースもあります。このような人で家族が普段介護している場合には、通所介護のサービスを受ける人も多いです。通所介護にはデイサービスやショートステイなどがあります。デイサービスは日中のみ、ショートステイは数日間入所して、そこで必要な介護サービスを受ける形になります。このようなサポートを受けることで、普段介護を行っている家族の負担を軽減するメリットがあります。デイサービスやショートステイにやってきた高齢者を迎え入れ、食事や入浴など必要に応じて介助するのが介護福祉士の仕事になります。デイサービスの場合、利用者は夕方には帰宅するので、夜勤を担当することはないです。
通所型の特徴をみてみると、必要な介助を行うほかにも体操や歌などのレクリエーションを提供しているところが多いです。そのため、介護福祉士は身の回りの世話をする以外にも、レクリエーションの企画立案や当日の進行役などを任される場合もあります。そこで通所型施設で勤務する介護福祉士は、人を楽しませる・盛り上げることが好きな人のほうが向いているといえます。場合によっては、介護福祉士が人前でパフォーマンスをして利用者を楽しませることもあるかもしれません。その意味では性格的に明るくて、盛り上げ上手な方におすすめの仕事といえます。デイサービスのなかには、近隣住民との交流に積極的なところも多く、外交的な人に適した職場といえます。
訪問型施設の場合、特にデイサービスなどは夕方になれば利用者は自宅に戻ります。つまり老人ホームのように24時間介護をする必要はありません。そのため、夜勤を担当する必要がなくなります。朝出勤・夕方ごろ終業のパターンとなりますので、規則正しく仕事ができます。デイサービスをみてみると、日曜日や祝日は休みとしているところが多いです。そのためカレンダー通りの休日をとることができるので、家族や友人とどこかへ出かけるといった場合でもスケジュールの調整がしやすくなるでしょう。入所者に対して服薬の補助などの医療行為が必要になるかもしれませんが、本格的なことはまず必要ないので、事故のリスクも少なく、安心して仕事ができます。
デイサービスのなかには、多くの利用者を抱えている施設もみられます。その場合一人で多くの利用者の面倒を見なければならないので、仕事量がどうしても多くなります。しかも眼が行き届かない可能性もありますので、仕事上のストレスが大きくなってしまうことも考えられます。日常生活のサポートやレクリエーションなどの精神面のケアが中心の職場になりがちです。そのようなこともあって、介護福祉士としてのスキルアップにはつながらないのではないかという不満を抱くスタッフもみられます。さまざまな側面に気を配らないといけない、仕事量は多いがもらっている給料は少ないと感じる職員も多いです。そのため、離職率の高い施設もあるようです。
介護の必要な高齢者のなかには、自宅療養をしている・寝たきりなどで通所型介護施設を利用できないケースもままあります。このような人を対象にして、利用者の自宅を訪れて必要な介護を行うのが、訪問型介護サービスになります。訪問介護ステーションが日本全国にありますので、こちらに就職して活動する形になります。訪問介護の仕事に就くと、それぞれのスタッフに担当する家が割り振られます。その割り振られた利用者の自宅を定期的に訪問して必要な介助を行ったり、身の回りの世話をしたりといった業務をこなしていきます。朝から夕方ごろまでの勤務で、1日に数件の利用者の自宅を回って、必要な介護サービスを提供する仕事になります。訪問入浴といって、特殊浴槽を用意して利用者を清潔にする仕事についている介護福祉士もいます。
訪問型介護の場合、ただ単に利用者の介助を行えばよいというわけにはいきません。そこで生活をしていて、日常生活で必要なことが自分ですべてできない人も多いです。そこで食事の準備や掃除、洗濯など家事を任されるケースもあります。そのため、訪問介護のスタッフとして仕事をしている介護福祉士のなかには、結婚している女性の方が活躍している傾向が強いです。今まで行ってきた家事仕事を業務に生かそうというわけです。訪問入浴のスタッフの場合、寝たきりの高齢者などを特殊な浴槽に移して、体を洗う必要があります。高齢者と言っても大人なので、ベッドから浴槽まで持ち上げるのには相当な体力が必要です。体力に自信のない人が就くのは厳しいでしょう。
訪問型介護の場合、自分の受け持つ家庭は固定されます。つまりいつも同じ相手に対して看護サービスを提供することになり、1対1で利用者にしっかり向き合って介護サービスを提供することが可能です。訪問介護の場合、1人で訪問するのが基本となります。そのため、責任感を持って仕事ができますし、他のスタッフに気を使う必要がなく、自分のペースで介護のできることも魅力といえます。訪問入浴では、介護スタッフ以外に看護師もついて動くのが一般的です。利用者が入浴しても問題ない程度の体力を維持しているかチェックする必要があるからです。看護師がいるため、不測の事態が起きても、迅速に必要な医療行為を行えるので精神的な負担もかからないでしょう。
訪問介護の場合、自分一人で利用者の自宅を1日数軒回る必要があります。そのため、効率的に移動できるように自動車を利用することが多いです。求人情報を見ても、普通自動車運転免許を持っている人を対象にした募集がかなり多いです。つまり運転免許を持っていないと、訪問型介護の仕事を見つけるのには苦戦するかもしれません。また利用者のなかには、家族が普段介護しているケースもあります。その場合には家族の要望なども聞いたうえで介護サービスの提供をしなければなりません。家族と利用者の折り合いが悪い家庭もありますので、そのようなところで仕事をする場合には気を使わないといけないでしょう。訪問入浴の場合、利用者の体を支えますので肉体的な負担が大きくなります。
介護福祉士になるためには、資格を取得する必要があります。介護福祉士は国家資格になるため、国家試験を受験して合格する必要があります。そのうえで登録手続きをすれば、晴れて介護福祉士として仕事ができるようになります。介護福祉士の資格を取得する方法ですが、いくつかのルートがあります。まずは実務経験や福祉系の高校を卒業したうえで国家試験を受験して合格する方法です。そしてもう一つは、介護福祉士の養成施設に入って卒業するルートもあります。後者のルートをたどった場合、国家試験をクリアしなくても介護福祉士の資格を取得することが可能です。介護の仕事は資格がなくてもできますが、資格がないと介護福祉士として名乗ることはできません。
介護福祉士になるためには、まず国家試験を受けて合格するルートがあります。国家試験を受けるには条件があり、まず3年以上介護の世界で実務経験を積む必要があります。そのうえで実務者研修を受けると受験資格が与えられます。もう一つは福祉系の高校を卒業する条件です。国家試験は毎年1回筆記試験と実技試験の2段階によって考査されます。合格率は50~60%といったところで、きちんと試験対策をすれば合格は十分可能です。もう一つの方法は養成学校を卒業する方法です。介護福祉士の養成施設で1~2年の必要なカリキュラムを修了すれば、介護福祉士の資格を取得できます。高校卒業からは2年、福祉系の大学や保育士養成施設などを卒了した場合には1年間のカリキュラムとなります。
介護福祉士のなかには、自分の仕事に不満を抱えている人もみられます。介護福祉士のなかには「給料を増やしてほしい」「もっと重要なポジションでやりがいのある仕事をしてみたい」と思う方もいるでしょう。なかにはそのために転職を考えている人もいるかもしれません。しかしあえて今の職場に残るというのも一つのやり方です。厚生労働省のデータを見ると、10年間同じ場所で勤務をすれば、基本給2.5万円・総支給額5万円程度増えるようです。もし現在勤めている所で昇給制度を採用しているのであれば、今は納得できなくても仕事をつづけることも1つの方法です。また長いこと仕事をしていれば、重要なポジションに抜擢される可能性も高まります。そうなればさらなる給料アップも期待できるでしょう。
もし自分が現在働いているところではスキルアップや給料アップが見込めそうにないのであれば、転職することも視野に入れるべきでしょう。転職するにあたって、確実な方法は、現在勤めている施設よりも良いポジション・待遇で仕事ができそうなところを見つけることです。同じ系統の施設であれば、同じような業務内容なので仕事もすぐにマスターできるでしょう。また採用する側も、自分たちのところと似たような施設で実務経験を持っているとなれば即戦力として使えるため、採用してくれる可能性が高いです。もし同じ系統の施設に転職するのであれば、採用試験を受けるにあたって、一度自分のキャリアを整理しておきましょう。そして、面接などで即戦力になれる人材ということをアピールしましょう。
介護福祉士のなかには、今までとは異なる施設に転職する人もみられます。例えば訪問介護やデイサービスで勤務していた人が、老人ホームのような入所型施設に転職するといった事例です。この場合に注意しないといけないのは、今までとは業務内容が変わってくる可能性があることです。訪問介護やデイサービスの場合、夕方には仕事が終わっていたでしょう。しかし老人ホームになると、夜勤を月に何度か経験する必要もあるかもしれません。このように同じ介護でも仕事時間などが異なる可能性があり、実際その部分で戸惑いを感じる人もいます。そこで就職する前に、個別の案件の募集要項をきちんと調べて、どのように仕事をするのかを理解しておきましょう。